会社を買おう!【サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい】内容とレビュー
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)
- 作者: 三戸政和
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: 新書
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概要
・筆者は、日本創生投資という投資ファンドのCEO
・人生100年時代の今、サラリーマンは会社経営で、資産を形成しよう
・ゼロから起業するのではなく、小さな会社をM&Aするほうが、遥かに簡単
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい
内容
株式会社日本創生投資は、中小企業の事業承継、事業再生の会社を引き受ける投資ファンド。
1件あたり1億〜5億の金額を投資している。
そして、5〜6年ほどで投資額を2倍にすることを目的にしている。
ビジネスノウハウ公開の意図は、社会貢献的な意味合いがある。
現在、中小企業の100万社が倒産するという、大廃業時代を迎えている。
その理由は、後継者不在などの理由で、事業承継がうまくいかないから。
→中小企業の経営を担ってほしい
会社を買いましょう。
ライフ・シフトという本でも書かれていた通り、人生100年時代を迎える。
人間の人生は、100年を超えることが当たり前になる。
老後の人生は長く、大金が必要だ。
定年後の資産形成としても、会社経営による役員報酬などは最適かもしれない。
だからこそ、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい。
ビジネスマンには2つのタイプがいる。
・雇われサラリーマン
・資本家
日本長者番付を見ると、どのような人が稼いでいるのか、すぐ分かる。
ランキング上位を見ると、最も稼いでいるのは、オーナー社長達。
雇われ社長は稼いでない。
サラリーマンは、たとえ社長まで上り詰めても、株主の意向に反して自分の好きなように経営できない。
そして、年収もオーナー社長と比べると、全く違う。
オーナー社長なら稼げるし、自由にビジネスができる。世界が違う。
雇われ社長を目指すよりも、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい。
投資ファンドのイメージは、いまだハゲタカのような誤解があるが、その印象は正しくはない。
優良企業を残すために、日本のために頑張っているファンドは、たくさんある。
優秀な人間が事業を引き継ぎたいと申し出れば、情熱に共感するオーナー社長は多い。
会社経営に年齢は関係ない。
優秀な若者であれば、承継したいオーナー社長はいっぱいいる。
高い関心と情熱があるかどうかが、決め手になる。
企業に投資してリターンを得る、ベンチャーキャピタルは、縦割りの分業だ。
そのため、VC(ベンチャーキャピタル)で働いていても、全体像の理解が難しい。
投資ファンドで働くことで、全体像を理解できるようになった。
起業のハードさは、サラリーマンのモーレツ社員ぶりとは、レベルが違う。
仕事が好き過ぎて寝るのを忘れるぐらい全力にで働くのと、仕事を頑張るサラリーマンとでは、根本から次元が違う。
無から有を生み出す、ゼロイチ起業家はとんでもない能力が必要だが、会社をM&A
して買って経営するのであれば、イチからスタートできるのでそこまで難しくない。
人生100年時代。
65歳の定年から、40年もお金が必要。
年金では足りない。
→サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい。
起業は、生半可ではない。
設立した途端に、出血、支出が始まる。
サラリーマンは、ゼロイチ経験がない。
つまり、ゼロを知らない。
VC(ベンチャーキャピタル)の世界は、千三つ。
1,000社の案件の中で、上場するほど成功するのは、そのうちの3社しかない。
すなわち、0.3%の確率だ。
投資ファンドは、投資した会社の中から、20%以上の成功を目指す。
10社に投資して、4社は泣かず飛ばず、4社は倒産。
1社が上場してトントン。
2社が上場して大成功。
1億投資しても、8〜9割が成功できない。
それも、すべて調査した、期待できる会社だ。
このように、VC(ベンチャーキャピタル)は、諸行無常に、日常的に接する職業。
「創業者、経営者に必要なものは、飽くなき事業への情熱、再起を図れる軍資金、そして健康な体。この3つと思っている。そして、人生いつ何があるか分からないから、何が起きても楽しむことが大事。」
ドリコム社長 内藤祐紀
ゼロイチ起業家には、ここまでの圧倒的な情熱が必要になる。
孫正義でさえ、ゼロイチ起業は得意でない。
彼は最初の頃にいくつかの発明品を販売したが、
ある時期から、投資ビジネスにシフトした。
起業は、一度経験すれば、成功しようと失敗しようと、ものすごい経営スキルが見につく。
そして、2回3回と繰り返すほど、強くなる。
飲食店経営は、甘くない。
初期費用が、かかりすぎる。
そして、そもそもレッドオーシャンだ。
VC(ベンチャーキャピタル)的な視点では、最も難しいビジネスの一つ。
町中華が生き残るのは、店舗と自宅が併用されているから。
家賃、光熱費など、ほぼすべて経費にしているからサバイブできる。
飲食店が、あまり稼げないランチ営業をする理由は、FL比率を押さえるため。
FL比率とは、売上高に占める食材原価と人件費比率がどれくらいかという指標。
良い食材の鮮度を保ち、余るものは廃棄せず、ランチで稼ぎながら提供している。
飲食店は、夜だけの営業では、食材のコントロールができない。
ランチ営業は、食材のコントロールのため。
ゼロイチ起業は、経営の安定に10年はかかる。
その大変さを味わうよりも、過酷な10年を生き残った会社を買おう。
→オーナー社長になろう。
企業の財務諸表は、健康診断書と同じ。基礎的な会計知識は必要。
中小企業の社長は、親族内承継が9割。
そのため、2代目、3代目は、マネジメント経験が少ない。
そして、企業体質が、前近代的でもある。
それでも、中小企業は回っている。
日本の社長の平均年齢は、59.3歳。
ボリュームゾーンは、60〜69歳。
日本の中小企業は、後継者不在で、黒字廃業が多い。
→買い手市場。
倒産した時にすべてを失うのではと恐れる人もいるが、会社は無担保、無保証で買える。
倒産しても、財産は守られる。
→MAのリスクは、買収資金のみ。
あなたのチャレンジが、日本でどんどん潰れようとしている、優良な中小企業を救う。
レビュー
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいは、サラリーマンが企業を買収して経営をするという、現代的かつ新しい発想で面白い。
中小企業の事業承継ラッシュで、M&A仲介の日本M&Aセンターなどが10年ほど前から流行っていることは知っていた。
しかし、一般のサラリーマンに企業買収を勧めてくるのは、新しい流れかなと感じた。
株式投資、不動産投資、仮想通貨投資などが流行り、次は企業投資になるのか。
企業経営は、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいが提案するように、そんな簡単なものだとは思えない。
しかし、この投資アイディアは新鮮で、流してしまうにはもったいない。
人生100年時代、事業承継により譲り受けた、中小企業経営で資産形成するのは、夢があって面白いじゃないか。
事業承継がうまく進まない優良企業の倒産を防ぐ、社会貢献的な意味合いもある。
すぐに実行できるものではないし、実態は甘くないだろうが、中小企業M&Aは、より深掘りしたくなる内容だ。
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいは、新しい資産運用に興味がある方、会社経営に興味がある方におすすめの一冊だ。
興味がある方は、早速買って読んでみよう!