お金の基本的な仕組みについて【TED】通貨の価値はどう決まる?
「お金の価値は、流通量で決まる。」
概要
アメリカの教育者、ダグ・レビンソンが、TEDに登壇。
通貨の価値の決まり方について、講演した。
お金の価値がどうやって決まっているのか、知っているだろうか?
それでは早速、その内容をシェアしていこう。
内容
何かの代金を支払うとき、単なる紙切れを出しても、物は手に入らない。
しかし、その紙切れがドル紙幣だった場合、話は違う。
では、どうして紙幣は他の紙より魅力的で、価値があるのだろう。
紙幣そのものが役に立つ訳ではない。
紙幣は食べることも、何かを作ることもできない。
しかも、他の紙と違って、燃やしてしまうと犯罪になってしまう。
それでは、一体紙幣の価値はなんだろう?
おそらく誰でも答えを知っている。
100ドル紙幣は政府によって印刷され、公式の通貨として認められている。
他の紙には、そのような裏付けはない。
しかし、これは法的効用性を与えているに過ぎない。
100ドル札の実際の価値を決めるのは、その流通量だ。
USドルだけでなく、歴史上ほとんどの通貨は、価値のある物品と紐づいていた。
そして、その通貨の流通量は、政府の金銀保有量に依存していた。
しかし、1971年にアメリカはこの制度を廃止して、ドルは不換紙幣になる。
つまり、他の資源との繋がりがなくなって、流通量は政府の政策によって決まるようになった。
では、この政策を決めるのは、どの政府なのだろうか?
それは、行政でも、立法でも、司法でもない。
金融政策は、独立した機関である、FRB(連邦準備理事会)によって決められている。
そして、理事会は大統領が指名して、上院が承認し、下院が報告を受ける。
ただし、政策による影響を受けないように、政府機関からは直接管理されていない。
なぜ、みんなが幸せになるように、お金をたくさん刷らないのだろうか?
通貨がある意味を考えてみよう。
お金は、財やサービスと交換できるのものだ。
もし、一国の通貨の合計流通量が、財やサービスの合計価値よりも早く増えてしまうと、同じ紙幣で買えるものが少なくなってしまう。
これが、インフレーションだ。
逆に、通貨の合計流通量が変わらない状態で、財やサービスの生産が増えると、同じ紙幣で買えるものが多くなる。
これが、デフレーションだ。
インフレになると、お金の価値が下がっていくので、早く買い物をするようになる。
すると、一時的に景気を刺激できるが、過剰消費により結果的に物価は上がり、よりインフレが進行してしまう。
デフレになると、お金の価値が上がっていくので、人はお金を貯め込んでしまう。
そして、物は売れなくなり、景気が悪化してリストラや倒産が相次ぎ、経済はどんどん縮小してしまう。
そのため、経済学者、少しインフレの状態が望ましいと考えている。
FRBは、膨大な経済データを分析して、通貨の供給量を決めている。
そのデータは、過去のインフレ、世界全体の動向、失業率など多岐にわたる。
ちょうどいいという状態になるように、適度なインフレが経済には望ましく、成長しつつも過剰なインフレを抑制している。
FEDはお金の価値を決めているだけでなく、お金を手にできる機会の大きさも決めている。
感想
FRB(連邦準備理事会)を、日本で考えると、それは日銀になる。
日本では、日銀が通貨の供給量を決めていて、インフレ・デフレの舵をとっている。
日銀総裁の黒田さんが、年2%のインフレ成長を目指していると数年前から言っていたのは、まさにこの話のように、ちょうどいいインフレにしたかったことが理由。
結局、それが難しくて未だ達成できていないが、日本もアメリカのように、基本的には軽度なインフレを目指している。
しかし、日本は消費が活性化できず、お金の価値が上がり、物価が下がるというデフレが続いている。
悪いことばかりではなく、デフレにもメリットはたくさんある。
物価が安いのは助かるし、外国人観光客が増えるのは嬉しい。
街中で、毎日確認できる。
そして、しばらくは、この緩やかなデフレが続きそうだ。
今回の講演内容は、詳しい方にとっては当たり前すぎる話だが、あえて基本を再確認することで、色々と気づくこともある。
今後の経済動向について、これからも注視していきたい。