機械化で、なくならない仕事とは?【TED】 機械に奪われる仕事 - そして残る仕事
「機械化される仕事かどうかは、創造力が決め手だ。」
概要
アメリカの経営者であり、機械学習のエキスパートである、アンソニー・ゴールドブルームがTEDに登壇。
将来的に、機械に奪われる仕事 - そして残る仕事について、講演した。
それでは早速、その内容をシェアしていこう。
内容
2013年、オックスフォード大学の研究者達が、未来の仕事について研究した。
彼らは、現在ある職業の2つのうち1つが、機械により自動化されるリスクが高いと、結論づけた。
機械学習の技術こそ、そのような変化の主な原因だ。
これは、人工知能の研究の中で、最も有力な領域になっている。
機械学習の技術が発展することによって、機械がデータから学習して、ある種のことを人間のようにできるようになる。
私の会社Kaggleは、最先端の機械学習に取り組んでいる。
そして、産業や学問上の問題を解決するために、大量のエキスパートを雇用している。
その結果、機械には何ができて、何ができないのかが分かった。
どんな仕事が自動化できて、どんな仕事がなくなるのかが、未来を想定できる。
機械学習のビジネスへの活用は、1990年代前半から始まるった。
そしてまずは、簡単なタスクからスタートする。
ローン申込みに対する信用リスクの評価や、郵便番号から手紙を仕分ける作業など。
それが、ここ数年で飛躍的な進歩をとげた。
機械が、以前よりも遥かに複雑なタスクをこなせるように、進化している。
2012年には、小論文の採点をするアルゴリズムを作り、人間が行う採点と一致する評価をすることができるようになった。
2015年には、眼球の写真から、糖尿病網膜症の判定ができるようになった。
これも、人間の医者が判定する結果と同じ、アルゴリズムができた。
それが最近では、人間よりも優れた結果を出し始めている。
教師は、40年の経歴で、小論文を1万本読むかもしれない。
眼科医は、40年の経歴で、眼を5万個診断するかもしれない。
しかし、機械なら数分間で、数百万の小論文を読み、数百万の眼を見ることができる。
これでは、人間が、機械に勝てる見込みはない。
そう判断するのは、早計だ。
人間には、機械に勝てる分野がある。
機械の技術が進歩していないのは、経験のない状況で判断する技術。
機械は、ほとんど見たことのない状況には、対応ができない。
機械学習の限界は、大量の過去データが必要だということ。
人間は違う。
共通点のないところから繋がりを導き出し、見たことのない経験を解決することができる。
例えば、パーシー・スペンサーの例が挙げられる。
彼は、第2次世界大戦の時に、レーダー開発の任務に就いていた物理学者だ。
ある時、レーダーに使われるマグネトロンというマイクロ波が、チョコバーを溶かすことに気づいた。
そこから生み出されたのが、電子レンジだ。
このような、ジャンルを超えた素晴らしい創造力は、人間にしか生み出せない。
経験のない分野では、機械は人間に勝てない。
これが、人間が行うことを機械化する上での、リミットになっている。
この話から、将来における、機械に奪われる仕事 - そして残る仕事を考えてみよう。
機械化される仕事かどうか、機械に奪われる仕事かどうかは、一つの質問で分かる。
「その仕事は、高頻度多量データ処理に還元できる部分がどのくらいあり、前例なき状況への対応を求められる部分がどれぐらいあるか?」
機械の高頻度多量データ処理の部分は、機械がどんどん賢くなっている。
この部分では、人間には勝ち目はない。
一方、前例なき状況への対応を求められる部分に関しては、人間の圧勝だ。
クリエイティブな仕事や、ビジネス戦略を生み出すのは、これからも人間の役目。
どんな仕事であれ、常に新しいことにチャレンジして、変わり続ける必要がある。
そうすれば、その人は、機械にとって代わられることはないだろう。
感想
機械に奪われる仕事 - そして残る仕事、このテーマは、数年前から大きな話題になっている。
ビジネス界では、主流の話題の一つとも言える、機械化問題。
その話題を、機械学習の最先端でビジネスしている彼が、分かりやすく説明してくれた。
それにしても、AIは1万本の小論文をわずか数分で読み、5万の眼を数分で診断するとは、凄まじい。
機械化、AI化は漠然と理解していたが、この話は具体的で、とてもリアルだ。
データから算出することができる分野に関しては、確かに人間に勝ち目はなさそうだ。
しかし、機械には、創造力がない。
過去のデータがないと、何もできない。
創造力に関する分野は、全く進化していないようだ。
これは、忘れてはいけない最重要事項。
未来も生き残り続ける仕事、人間が活躍できる仕事には、創造性が欠かせない。
一見、創造性のかけらのない仕事も、意識して変えていくことで、クリエイティブにすることができる。
AI化時代においては、仕事のマニュアル化、マンネリ化は危険だ。
同じ事を繰り返していたら、いつ仕事がなくなってもおかしくない。
新しいことにチャレンジを続け、できる限り、クリエイティブなビジネスをしていこう。