人の肌はなぜこんなに違うのか?【TED】肌の色の科学
「人間の肌の色は、太陽光の影響を避けて大陸移動した、長い歴史の中から違いが生まれた。」
概要
TEDの講師、アンジェラ・コイネイ・フリンが、肌の色の科学を解説。
なぜ、人間の肌の色や肌質には、それぞれ違いがあるのだろう?
早速、その謎を解明していこう。
内容
太陽光の紫外線が肌に当たった時、その反応は人によって様々だ。
肌の色によっては、たった数分間、太陽光にさらされただけで、肌が赤くなる人もいれば、何時間かかっても反応がない肌の人もいる。
このような違いは、どこから生まれるのだろうか?
そして、なぜ人の肌の色には、多彩な色があるのだろうか?
どんな色の肌にも、人類の順応性を示す、壮大な物語がある。
そして、肌の色の違いを生み出すものは、生体的な働きだ。
その中心は、メラニンと呼ばれる、肌や髪に色をつける色素。
メラニンは、メラノサイトと呼ばれる皮膚の細胞で生成され、基本的に2種類ある。
1つは、ユーメラニンといって、肌色の茶色味の度合い、黒・茶・ブロンドなど髪の軽さを決める。
もう1つが、フェオメラニンと呼ばれ、赤茶色のそばかすや赤毛のもとになる。
しかし、人類は昔からこうだったわけではない。
様々な肌の色の違いは、人類の進化の過程で生まれた。
5万年ほど前に、人類の祖先がアフリカから北へ移動し、ヨーロッパとアジアへ移り住んだ。
その以前の人類は、赤道から回帰線の間に住んでいたので、多くの紫外線を浴びていた。
肌が長時間、紫外線にさらされると、細胞内のDNAが損傷し、日焼けが始まる。
そして、損傷が度を越すと細胞が変異して、メラノーマという皮膚ガンが、メラノサイトから発生してしまう。
しかし、もちろん、日焼け止めは5万年前には存在しなかった。
それでは、我々の祖先はどのようにして生き残ったのだろう?
生き残った鍵は、自前の日焼け止めだった。
それは、皮下で生成される、メラニンだ。
その人の肌が持っているメラニンの種類や量によって、どれだけ太陽から保護されるかが決まる。
つまり、太陽光に当たった時の、肌の反応だ。
メラノサイトに太陽光が当たると、ロドプシンという光に敏感な受容体に作用し、細胞を損傷しないように防御するため、メラニンの生成が始まる。
色の白い人はこうしてメラニンが増え、肌色が濃くなって、日焼けする。
アフリカでも太陽光が強い地域では、何世代にもわたって環境に適応してメラニン生成の域値が高くなり、ユーメラニンが増え、肌が黒くなった。
生まれ持った日焼け止めが、皮膚癌になるメラノーマを防いで、環境に適合し生存する力を高め、この便利な特性を次世代に受け継いだ。
そして太陽に適合した人類は、アフリカの熱帯を出て北に移動し、地球全体に広がった。
北に行くほど、直射日光が減っていった。
しかし、これはこれで問題だった。
なぜなら、紫外線は肌を傷つける一方、メリットもあるからだ。
紫外線は、ビタミンDの生成を助ける。
ビタミンDは骨を強くし、ミネラル分の吸収を促す。
肌の黒さで紫外線から守られていた人類も、北に行ったらビタミンD欠乏症になってしまった。
一方で、白い肌の方は、紫外線の吸収力があることも分かった。
このような人が、北の弱い紫外線の中でも、十分なビタミンDを生成し、強い骨を作れるようになった。
そして、うまく生き残って、健康な子孫を残した。
その後、何代にも渡る自然淘汰を経て、こういった地域の人は肌が白くなっていった。
このように、我々の祖先が環境に適応していった結果、世界は多彩な肌の色で溢れている。
一般的に、太陽光が多く、暑い赤道近辺には、ユーメラニンの豊富な色黒の肌に。
赤道から離れるほど太陽光が減り、フェオメラニンの豊富な白い肌になる。
つまり、人間の肌の色は、太陽の周りを回る地球に住むために、順応して変化する。
感想
アジア人、白人、黒人など、肌の色がそれぞれ違うが、元は同じだった。
アフリカ大陸から、強い太陽の光を避けるために、人類が大陸移動をして、今のように地球上に人が広がっている。
そして、それぞれの環境の太陽光の影響で、今の肌の色がある。
肌の色の違いは、何万年単位の壮大な歴史のドラマを、反映している。
すべてのキッカケは、太陽だった。
人類は進化し続けて、文明は発達し続けたが、太陽だけは変わらない。
唯一無二のもので、今後の未来も変わり続けないものは、太陽だけかもしれない。
それにしても、太陽の力は凄まじい。
人類を世界中に大陸移動させるほど、大変なものだったとは。
太陽は強すぎる。
現代人の我々としては、紫外線対策ぐらいはバッチリやっておこう笑