バイリンガルの脳はどうなっているのか?【TED】バイリンガルの脳が持つ利点
「バイリンガルになることで、脳はより健康的かつ複雑になり、物事に活発に取り組めるようになる。」
概要
TEDのミーア・ナッカムリが、2つの言語を話せるバイリンガルの脳が持つ利点について、講演した。
日本語と英語、日本語と中国語など、バイリンガルは2ヶ国語を理解できる。
バイリンガルになると、脳にとっては、どうのような利点があるのだろうか?
その内容を、分かりやすく説明していこう。
内容
海外でビジネスができたり、映画を字幕なしで観る以外にも、バイリンガルには利点がある。
2つ以上の言語を知っている人の脳は、外見も働き方も、1つの言語しか知らない人の脳とは違うようだ。
ところで、言語を知っているとは、具体的にどういうものだろう?
言語能力は、「話す」「書く」の2つの能動的能力と、「聴く」「読む」の2つの受動的能力で決まる。
バランスのとれたバイリンガルは、2つの言語にわたって、すべての能力を一律に備えている。
しかし、ほとんどのバイリンガルは、2つの言語を理解している割合に偏りがある。
バイリンガルは大きく、3つのタイプに分けられる。
例えば、ガブリエラは、2歳の時に家族でペルーからアメリカに移住した。
この場合、ガブリエラは「複合型バイリンガル」に当てはまり、2つの言語コードを、1つの概念体系のもとに、同時に発達させている。
彼女は、周囲の情報を処理し始めた頃から、英語とスペイン語の両方を学習しているからだ。
一方、彼女の10代の兄は、「等位型バイリンガル」に当てはまる。
彼は2つの概念体系を使っており、学校では英語を話し、家ではスペイン語を話している。
最後に、ガブリエラの両親は、「従属型バイリンガル」になる。
アクセントや発音に関しては差が出るが、どのタイプも言語をマスターすることができるため、少し話す程度では違いがわからない。
しかし、近年の科学の発達によって、神経言語学者は、言語学習の特定の側面が、バイリンガルの脳に与える効果が分かってきている。
脳の左半球が、論理的思考の際に優勢かつ分析的に働き、右半球が情緒的・社会的な思考の際に活性化することはよく知られている。
しかし、これは程度の問題であり、完全な分業ではない。
子どもが大人より言語を簡単に学べるのは、脳の分業が進んでいなく、脳の両半球を使えるほどのスペースがあるからだ。
そして成人になると、言語機能は、片方の半球が優位になっている。
成人が言語を学ぶ際には、ほぼ、左半球だけを使っている。
子どもの頃に言語を学習すると、脳の両半球を使うことになるので、社会や情緒を含めて、より全体的に言語を習得することができる。
逆に、成人以降に第二言語を習得した場合、第二言語を使っている間になにかトラブルがあった際、感情バイアスに捉われず、より理性的に対処できるメリットがある。
バイリンガルの脳には、いくつか利点がある。
また、第二言語に取り組むときは、脳の特定の領域がより活性化する。
バイリンガルの脳は、生涯にわたって高度に鍛えられているため、アルツハイマー病や認知症などを、通常よりも5年以上遅らせることができる。
バイリンガルだからといって、必ずしも頭が良くなるわけではないが、脳はより健康的かつ複雑になり、物事に活発に取り組むようになる。
子どもの頃に第二言語を学ぶ機会がなかったとしても、成人になってからでも遅くはない。
騙されたと思って、あいさつから始めて欲しい。
ちょっとした運動であっても、脳にとってはとても大事なことだ。
感想
1つの言語しか話せない人と、2つの言語を話せる人で、脳の仕組みに違いがあるのか興味があった。
TEDの講演によると、 バイリンガルの脳は健康的かつ複雑で、1つの言語しか話せない人よりも活性化しているようだ。
そして、脳が活性化するからこそ、物事に前向きに取り組めるようになると。
確かに、周囲でもバイリンガルのほうが積極的で前向きな人が多い傾向なので、これは理解できる。
それは、バイリンガルだから積極的というよりは、脳が活性化しているから前向きだということだった。
大人の言語習得には時間がかかるが、この話を知ることで、バイリンガルになるモチベーションはより上がる。
また、子どもの脳はスペースが狭いからこそ両半球を使えて、だからこそ言語を習得しやすいという理論も面白い。
この理論に沿って考えると、言語習得をする際には、意識して脳の両半球を使うほうが、より効率的に言語を学べるということだ。