身体ではなく脳で覚える【TED】あらゆる物事の上達を早める練習の仕方
「効率的な練習とは、一貫性があり、しっかりと集中して行われ、その人の能力の限界ギリギリの内容や弱点に狙いを絞ったもののことです。」
Annie Bosler
概要
TEDのエデュケーター、アニー・ボスラーとドン・グリーンが登壇。
練習が脳に与える影響と、物事を上達するための効果的な練習方法について講演。
実用的なこの内容を、早速シェアしていこう。
内容
野球の投球でも、バレエのピルエットでも、楽器の演奏でも、マスターするには練習が必要です。
練習とは、上達するという目標を持ってある行動を繰り返すことで、練習するとより簡単に素早く自信を持って行えるようになります。
では、練習によって物事が上達するのは、脳内で何が起きているからでしょうか?
脳は、2種類の神経組織からできています。
灰白質と白質です。
灰白質は脳内の情報を処理し、信号や感覚刺激を神経細胞に伝達します。
そして、白質は大半が、脂肪組織と神経繊維からできています。
身体が動くためには、情報が脳の灰白質から脊髄を伝わり、軸索と呼ばれるチェーン状の神経線維を通じて、筋肉に伝達されなければなりません。
白質にある軸索は、ミエリンという脂質に覆われています。
このミエリンの鞘状の覆いが、練習によって変化します。
ミエリンの鞘状は、電気ケーブルの絶縁体に近いものです。
脳が用いる電気信号を送る際のエネルギー損失を低減し、神経路に沿って信号がより効率よく伝達できるようにします。
練習を繰り返すほど、軸索を絶縁するミエリンの鞘状の層が、分厚くなります。
そして、層が分厚くなるほど、軸索の鎖を囲む絶縁が強くなり、情報スーパーハイウェイができあがって、これが脳と筋肉を結ぶのです。
運動選手や音楽家は、筋肉に覚えさせたおかげで成功したと考えていますが、筋肉自体は記憶するということはありません。
神経路のミエリン化が進んだことで、より速く効率的な神経路を味方につけた可能性があります。
効率的な練習とは、一貫性があり、しっかりと集中して行われ、その人の能力の限界ギリギリの内容や弱点に狙いを絞ったもののことです。
練習時間を最大限に活かすためには、目の前の課題に集中することです。
練習する時は、パソコンやテレビを消し、スマホはマナーモードにします。
最初はゆっくりの動作から始めましょう。
質の良い繰り返しをしながら少しづつスピードアップすることで、正確にできる確率が上がります。
次に、決められた時間をおいて何度も繰り返すことが、一流の音楽家などに共通する練習習慣です。
研究によると、多くのトップアスリートや一流の音楽家、ダンサーは、自分の技能に関する活動に週50〜60時間を費やしています。
最後に、詳細を鮮明に脳内で思い浮かべて、イメージトレーニングをしましょう。
一旦、身体動作が確立したら、それをイメージするだけで、強化できるようになります。
科学者が脳の動きを解明するにつれ、効果的な練習に関する理解も、これから進む一方でしょう。
感想
スポーツなどは特に、練習してできるようになると、身体が覚えたという感覚になる。
しかし、筋肉自体には記憶する機能はないようなので、身体が覚えるというのは錯覚で、脳が覚えていたということらしい。
それも、練習をして繰り返し作業することで、情報スーパーハイウェイができあがあるという、実に合理的な仕組みが脳内にあった。
これはちょっとした興味深い発見だ。
この事実を知ったからには、身体が覚えるというフレーズは、今後使えなくなる。
身体が覚えるのではなく、脳が覚えるのだ。
また、効率的な練習とは、一貫性があり、しっかりと集中して行われ、その人の能力の限界ギリギリの内容や弱点に狙いを絞ったもののだと言う。
集中度合いで効率が変わることは体感していたが、限界ギリギリを試したほうが効果的な練習になるというのは、まるで筋トレのようで面白い。
楽なことをしていても、上達はできないということだ。
物事を上達させるためには、余計なものに一切気を取られずに集中して、自分の限界突破を目指そう。