時間は現実か、それとも幻想か【TED】時間は存在するのでしょうか?
「なぜ私たちは、空間ではどんな方向にも移動できるのに、時間となると一方向にしか進めないのでしょうか。私たちが何をしたとしても、過去はいつも後ろにあります。」
Andrew Zimmerman - Educator
概要
TEDのエデュケーター、アンドリュー・ジマーマンが、TEDに登壇。
時間は物理的に存在するものなのか、時間の概念について語った。
それでは早速、その考えさせられる内容をシェアしよう。
内容
時間の測定のはじまりは、自然界における周期の観察でした。
昼から夜への変化、季節の移り変わりのパターンが、暦の作成に使われました。
その後、より正確に時間を測るよう、日時計や機械式時計が発明され、より便利に時間がわかるようになりました。
しかし、私たちは一体なにを測定しているのでしょうか?
時間は物理的に存在するのでしょうか?
それとも、私たちの頭の中に存在するだけでしょうか?
一見、答えは明らかなように見えます。
もちろん、時間は存在します。
時間は私たちの周りを常に流れていて、時間がない世界など想像できません。
しかし、時間の概念を複雑にしたのは、アインシュタインです。
アインシュタインの相対性理論では、すべての人に時間は流れるが、異なる状況にいる人には、必ずしも同じ速さで時間が流れるわけではないといいます。
例えば、光速に近い速さで移動している人や、超大質量ブラックホールを周回している人です。
アインシュタインは「時空」を定義づけるために、時間と空間を紐づけることで、時間の伸縮性を解きほぐしました。
しかし、なぜ私たちは、空間ではどんな方向にも移動できるのに、時間となると一方向にしか進めないのでしょうか。
私たちが何をしたとしても、過去はいつも後ろにあります。
これを、物理学の世界では、「時間の矢」と呼びます。
現在、物理学には、柱になる方程式が2つあります。
一般相対性理論は、とても大きなスケールでの現象を説明します。
一方で、量子物理学では、とても小さな世界を説明します。
この半世紀における理論物理学の、最大の目標の1つは、この2つの方程式を1つの基本的な「万物の理論」へと調和させることでした。
たくさんの試みがありましたが、正しいと証明されたものはまだありません。
時間の概念の扱い方も、それぞれ異なります。
時間に関しては、まだ明確には分かっていません。
時間が基本的な特性として存在しているのかを疑うのではなく、時間は創発現象ではないかと考えてみましょう。
創発特性とは、集合体を構成する各個体には存在しない性質が、集合体となって時に表れるものです。
水分子単体には、波はありません。
しかし、水分子が合わさって海となれば、波ができます。
また、映像が変化するのは、多くの静止画を使って、連続的で流れるような動きがあるように見せているからです。
画像が十分な速さで連続表示されると、人間の脳は一連の静止画から、時の流れを感じ取ります。
映像を構成する各画像は、変化したり、時の流れといったものを含んだりしません。
しかし、これらの画像が一続きになることで、生み出される特性なのです。
映像の中の動きは本物ですが、同時に幻想でもあります。
では、時間の物理学も同様に、幻想なのでしょうか。
物理学者はこれらの疑問や他の疑問を、今も研究しています。
まだ、完全な答えは遠い先にあるようです。
少なくとも、現時点においては。
感想
少々難解で、考えさせられる内容だった。
個人的にも、ふとした時に、時間の概念について疑問が湧く時がある。
本当に、時間は存在するのだろうかと。
例えば、人は正月やクリスマスなど毎年イベントをするが、カレンダーはそもそも人間が生み出した、人工的なものだ。
1月も12月も、本当は存在しない。
今では当たり前に存在しているが、これが当たり前じゃない時代もあった。
24時間という時間も同様だ。
人は当たり前のように、何時何分だから何をしようという風に考えて行動しているが、1日が24時間であり、1時間が60分、1分が60秒という概念も人工的だ。
その存在は、元々あったものではない。
1日が本当は24時間でないのであれば、時間の概念も曖昧になってくる。
しかし、同時に、時間の矢というものも存在する。
時間は一方向に進み、過去は常に後ろに存在する。
この概念をもとに考えると、時間は間違いなく存在する。
未来の記憶はなく、過去の記憶はあるからだ。
また、人間は年をとるほど老化していくので、これも時間の存在を証明している。
しかし、連続した静止画が映像になるように、連続した瞬間の連続が日常だとしたら?
現実には、流れる時間というものは存在しないことになる。
こんなことを考えているだけでも面白いが、物理学は哲学的なことを考えながら、それを実証するために動いていることが分かり、そういった意味でも興味深い内容だ。