建築家が語る階段の魅力【TED】私たちの生活を形作る階段の隠れた役割
「階段には、人の動作や感情を演出する効果がある。」
David Rockwell
概要
アメリカの有名建築家、デイヴィッド・ロックウェルがTEDに登壇。
階段の持つ隠れた役割について、講演した。
彼は、階段がいかに人の動作や感情を演出するかを説明する。
それでは早速、その内容をシェアしよう。
内容
ひょっとすると階段は、建築家が扱うものの中で最も感情に影響を与えやすい、物理的要素かもしれません。
基本的に階段は、高さの異なるA地点からB地点に行くための手段です。
階段には、共通語があります。
私たちが歩くのが「踏み面」で、「踏み込み板」は2枚の踏み面を隔てる垂直の板です。
階段の多くは、踏み面の先に「段鼻」がついています。
そして、連結する部分が「側桁」です。
このように、様々な形をした部品から、すべての階段はできています。
階段が作られたきっかけは、多分誰かが言ったのでしょう。
ある低い岩から、この高い岩に登りたいと。
人々は使えるものは、何でも使ってきました。
時と共に踏み固められた自然道など、ピラミットや中国の泰山を登る道にあるような、ごく初期の階段のいくつかは、人々が神への崇拝や加護を求めて高みへと到達するための手段でした。
技術が進歩するにつれて、実用性も進歩しました。
階段は様々な材質で作ることができ、直線階段もあれば螺旋階段もあり、室内にも室外にも作ることができます。
緊急時には間違いなく役立ちますが、階段そのもの自体がアートの一様式でもあります。
階段を上り下りする時、階段の形状は私たちの歩調、感情、安全を左右し、私たちの周囲の空間との関係性や関わり方に影響します。
優雅な階段は、なだれ混むような狭い階段とは違います。
幅にゆとりがあり、最上部から素晴らしい光景が待っている階段もあります。
一方、階段が急だと、歩調も急になり、せかせかします。
階段は壮大なドラマをもたらしてくれます。
9.11の世界防衛センターへの攻撃に、持ちこたえて残った階段は、「Survivors's Staircase(生存者たちの階段)」と呼ばれています。
何百もの人々を安全な場所に導く、主要経路の役割を果たしたからです。
小さな階段も大きな効果を生むこともあります。
アメリカにある、家の玄関先にある階段からは、街の様子を眺めることができます。
人々は、階段に集まります。
私たちの深い人間的欲求を、階段が満たしているのだと思います。
だからこそ、階段に腰掛けると、誰もがリラックスした気分になるのです。
感想
生活圏とは違うジャンルの職業の人の話を聞くと、フォーカスしている部分が異なるからこそ、発想の幅が広がる。
今までは、階段は階段としてしか考えていなかったが、建築家というスタンスで階段を今一度考えてみると、確かに様々な種類があることに気づく。
シンプルに、上下に上り下りするためだけの階段。
お洒落さを重視した、飾りとしての階段、アートとしての階段。
その場に貫禄を持たせた幅の広い階段、そして、ゆとりのない幅の狭い階段。
コントクリート製の階段や、木造の階段。
世の中にはあらゆる階段があり、それぞれの階段が、様々な効果を演出する。
階段の歴史は古く、何千年も前からあるようだ。
上に登るための方法が階段しかなかった時代は、神々しい存在でもあったという。
確かに、ヨーロッパの歴史地区にある神殿などは、階段が神々しく印象的だ。
日本の神社にある階段も、神々しい雰囲気が漂っている。
個人的には、古い洋館などにあるような、螺旋階段が好きだ。
あの余裕感とアート性が魅力的で気に入っている。
私たちにとって階段は、身近すぎて意識していないが、意識してみると階段は魅力に溢れている。
雰囲気を演出する効果は、抜群にある。