なぜ乗り物酔いが起こるのか?【TED】乗り物酔いの謎
「科学の驚異的な進歩にも関わらず、人が乗り物酔いをする理由は、いまだ謎に満ちている。」
概要
TEDのエデュケーター、ローズ・エヴィリスが、乗り物酔いについて講演した。
人はなぜ、乗り物酔いを起こすのだろう?
その謎について、掘り下げていこう。
内容
あなたは車の中で本を読めるだろうか?
もし読めるなら、あなたはとてもラッキーだ。
3人に1人は、移動中の車や、ボート、電車、飛行機の中で本を読むと、胃が気持ち悪くなる。
しかし、なぜ乗り物酔いが起こるのだろうか?
実は、科学者もまだその理由が分かっていない。
いまのところ、最も一般的な説明としては、感覚信号の不一致だと言われている。
例えば、車で移動すると、体は2つの異なるメッセージを受け取る。
目は車の中にいて、動いているように見えない。
一方で、耳は脳に加速していることを伝えている。
耳には、音を聴く以外にも、重要な役割がある。
内耳の最深部、前庭器官は、平衡覚と運動覚を司っている。
耳の内部には、3つの三半菅があり、3つの次元の回転運動を感知する。
また、耳には、動いている方向が水平か垂直かを脳に伝える役目もある。
これらの機能が、私たちの体に動きの方向や、加速の程度、角度までを伝えている。
車の中にいると、耳の前庭系の部分は動きを正確に感知するが、目では見えていない。
逆に、映画の中でカメラが動くと、目は動きを感知するが、耳はじっとしていると感じている。
このように、相反する情報の中にいることで、なぜ気持ち悪さを引き起こすだろう?
科学者は、進化上の理由があると考えている。
速いスピードで動く乗り物や、スピード感のある映像は、ここ200年程度で生み出されたものだ。
そしてそれは、進化の過程においては、たった一瞬の出来事。
長い歴史の中では、人間に対してこのような混乱を起こしたのは、毒だけだった。
そして、毒を体に取り入れると、人は気持ち悪さを感じて、体から吐き出す。
同様に、移動中の乗り物で本を読むと、相反する情報によって体は毒物だと判断し、気持ち悪くなるという考えだ。
他の考えもある。
単純に、人間は不慣れな環境にいると、自然な体制の維持が難しくなるというものだ。
しかし、この答えは、まだ明確に分かっていない。
NASAでは、時速27,000kmで宇宙に打ち上げられる宇宙飛行士の乗り物酔いが、深刻だ。
どうすれば乗り物酔いをなくせるか、科学者たちは日々研究している。
睡眠の謎や、風邪の万能薬を探す方法のように、乗り物酔いの問題は、簡単そうに見えて難しい。
科学が驚異的に進歩しているにも関わらず、ほとんど分かっていない問題の一つだ。
乗り物酔いの原因と完全な対策については、遥か先のことになるだろう。
感想
なぜ、乗り物酔いをするのか、そしてその対策については、まだ解明されていないようだ。
しかし、目と耳がズレた感覚を覚えるというのは、なんとなく理解できるような理由だ。
また、人類の長い進化の中で、200年程度はたった一瞬の出来事で、まだ体が速い乗り物に慣れていないという考えも面白い。
車や電車など速い乗り物の存在は、脳では完全に理解して慣れきっているのに、体が追いついてないという事実には、不思議な感覚を覚える。
いずれにしろ、体の異常については基本的にアラームだと思っているので、気持ち悪くなるようなことはしないようにしよう。
脳も体も快適に感じることが、人間にとってベストな状態だと考えている。