Ky Lifestyle Blog

✍Ky Lifestyle Blogでは、ビジネス本や動画に映画など、日常をより豊かにする情報を、定期的に発信します。

脳のフィルタリング【TED】注意を向けた時、脳では何が起きているのか

「想像してみてください。いつの日か、コンピューターが、話せない人の思いを伝えるようになることを。」

Mehdi Ordikhani-Seyedlar

 

 f:id:reallifestyle:20190317234234j:plain
概要

計算神経科学者のメディ・オディカニ=セイドラーが、TEDに登壇。

人が何かに注意を向けた際に、脳では何が起きているのだろうか?

意識の種類と、脳とコンピューターの関係について講演した。

早速、その内容をシェアしよう。

 

内容

何かに細心の注意を払うということは、そう簡単ではないですよね。

私たちの注意は、同時に様々な方向に引きつけられているからです。

むしろ、ひとつのことにずっと集中していられるほうが、凄いことなのです。

 

多くの人は、注意を向けることは何かに焦点を当てることだと思っていますが、それは、脳がどの情報を遮断するかということでもあります。

 f:id:reallifestyle:20190317234434j:plain

注意には2つの種類があります。

1つは、顕在的注意。

顕在的注意では、何かに注意を払う時に、視線もその対象に向けます。

 

そして、もう1つが潜在的注意。

潜在的注意では、何かに注意を向ける時に、視線は動かしません。

 

例えば、車の運転を見てみましょう。

あなたの顕在的注意、つまりあなたの目は、前を向いています。

しかし、潜在的注意でもって、周りの空間をすべてチェックしていますよね。

実際には目を向けていないのにです。

 f:id:reallifestyle:20190317234600j:plain

私は計算神経学者として、認知分野におけるブレイン・マシン・インターフェース

つまり、脳とコンピューターを繋げることに取り組んでいます。

 

私は、脳のパターンが大好きです。

それは、私たちにとって重要なものです。

なぜなら、その脳のパターンを元にコンピューター用のモデルを構築し、そのモデルを使って、どうのようなに脳が機能しているかコンピューターで把握できるからです。

 

もし、脳が充分に機能しなければ、コンピューターはその治療の補助的な機器として、活用できます。

顕在的、もしくは潜在的に注意をする際、脳波のパターンはどのようになっているのでしょうか。

 f:id:reallifestyle:20190317234907j:plain

そこで、こんな実験を用意しました。

 

実験では、2つの点滅する四角を用います。

一方は、もう一方よりも、点滅の速度が遅くなっています。

どちらかの四角に注意を向けているかによって、脳の決まった部分がその点滅の速度に同調して、反応し始めます。

 

ですので、脳が出す信号を解析すれば、実際にどこを見ているのか、どこに注意を向けているのか、突き止めることができるのです。

 

顕在的注意を向けている時の脳の状態を見るために、被験者に一方の四角をしっかり見つめ、注意を向けるようお願いしました。

 

このケースでは当然ですが、脳の後部から発せられる信号に、四角形の点滅があらわれていることが確認できました。

脳の後部は、視覚情報の処理を司る部分です。

 f:id:reallifestyle:20190317235058j:plain

一方で、とても興味深いのが、潜在的注意を向けた場合です。

今後は被験者にスクリーンの中央を凝視し、視線を動かさずにどちらかの四角形に注意を向けてもらうようにお願いしました。

このとき、脳の信号にはどちらの点滅速度も確認できましたが、どちらかに注意を向けたほうが、前頭野が活性化することが分かりました。

 

脳の前頭部分は、人間の高次の認識能力を司っています。

前頭野はフィルターのような働きをしていて、注意を向けたほうの点滅からは情報を取り入れて、無視したほうからは情報を取り入れないようにしていることが分かりました。

 

このような、脳のフィルタリング機能は注意の鍵となるものですが、この機能が欠けている人もいます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合などです。

ADHDの人は、注意をそらすものの情報を遮断できず、1つの作業に長時間集中することができません。

 f:id:reallifestyle:20190317235203j:plain

しかし、もしそうであっても、脳をコンピューターと繋げて専用のコンピューターゲームをして、気をそらすものの情報を入れないような訓練ができるとしたら?

 

ADHDは、一例に過ぎません。

このような認知におけるブレイン・マシン・インターフェースは、他の認知分野でも使えます。

 

数年ほど前、私の祖父が脳卒中で倒れ、全く話すことができなくなりました。

人の話はすべて理解できましたが、それに反応する術がありませんでした。

書くこともです。

元々、読み書きができませんでしたから、祖父は沈黙のうちに亡くなりました。

 

当時、こう思っていたのを覚えています。

もし、祖父の代わりに話してくれるコンピューターがあったらいいのに。

 f:id:reallifestyle:20190317235504j:plain

数年後、私はこの分野に携わり、それが可能ではないかと思ってきました。

 

想像してみてください。

イメージや文字を人々が思い浮かべた時、その脳波がどうなるか特定できたとしたら?

いつの日か、コンピューターが、話せない人の思いを伝えるようになるのでは?

もしコンピューターで、昏睡状態の人の思いが分かるようになったら?

 

まだそれは先の話ですが、注意して見ていてください。

すぐにそこに辿り着きますから。

 f:id:reallifestyle:20190317235747j:plain

感想

注意には、顕在的注意と潜在的注意に、分かれている。

顕在的注意は、視線で追う注意で、潜在的注意は、視線で追わない注意。

確かに、人は視線を送らなくても、周囲の180度ぐらいは意識することができる気がする。

個人的には、大体の注意であれば、複数の画面を同時に見ることもできる。

 f:id:reallifestyle:20190317235940j:plain

しかし、脳の前頭野が活性化するのは、意識を向けた時のほうが強いらしい。

これは、シングルタスクのほうが効率が上がると言う話と、似ている気がする。

顕在的注意を払って取り組んだほうが、能率は上がるということだ。

 

この、意識をすることで活性化する脳の機能とコンピューターを繋げることで、将来的には話ができない人もコミュニケーションが図れるようになるかもしれない。

昏睡状態の人でさえ、コミュニケーションが取れるようになる可能性があると。

それは実に素晴らしいことで、世界を変えるほど画期的な技術だ。

脳とコンピューターの関係性について、今後はより潜在的注意を払っていこう。

f:id:reallifestyle:20190318000050j:plain