ボタンを巡る歴史【TED】ボタンが変革したファッションとは
「ボタンがなかった頃は、衣服はもっとブカブカで、着る人の体型に合わせて変化する形で、自分の体を何かで包み込むような感じでした。しかし、新しいボタンの用途が発見されるにつれ、ファションが体型に近づきました。」
Isaac Mizrahi - Fashion Designer
概要
ニューヨークのファッションデザイナー、アイザック・ミズラヒがTEDに登壇。
彼は、ボタンというシンプルなものが、どのような世界を変えたについて講演した。
ボタンが変えた世界とは、どのようなものだろうか。
早速、その歴史を感じる内容をシェアしよう。
内容
だめなボタンはありません。
だめな人がいるだけです。
誰がボタンを発明したかはわかりませんが、紀元前2000年頃にはすでにあったようです。
最初は装飾品で、衣服を縫い付ける綺麗な飾りにすぎませんでした。
それから3000年が経って、ついに誰かがボタン穴を発明すると、ボタンはすぐに実用的になりました。
ボタンにボタン穴という取り合わせは、大発明です。
ボタンは穴をするりとくぐり抜けて、しかもあるべき場所に収まり、衣服がはだける心配がないのでとても安心です。
ボタンの種類は、中世以降、あまり変化していません。
歴史上、最も息の長いデザインの1つです。
私にとって、最高なボタンは決まって丸い形です。
小さなシャンク(脚)がついたドーム型のボタンか、縁取りがあったりなかったりする丸いボタンです。
2つ穴や4つ穴もあります。
ボタンに負けず劣らず重要なのは、ボタン穴です。
ボタン穴の大きさを計算するときは、ボタンの直径に厚みを足して、若干の「あそび」を加えます。
ボタンがなかった頃は、衣服はもっとブカブカで、着る人の体型に合わせて変化する形で、自分の体を何かで包み込むような感じでした。
しかし、新しいボタンの用途が発見されるにつれ、ファションが体型に近づきました。
ある時期、ボタンは体型に合った服を作るための、ここぞという方法でした。
ボタンがこんなに長期間使われてきた歴史的な理由は、衣服を閉じ込めておくのにすごく役に立ったからだと私は思います。
ファスナーは壊れやすく、マジックテープはうるさいですし、そのうち摩耗します。
ボタンは取れても、また縫い付けるだけで済みます。
ボタンはいわば、ロングセラーです。
これまでの中で最も基本的なデザインというだけではなく、着る人を華麗に際立たせるためのアイテムでもあります。
子どもの頃、母が綺麗なセーターを編んでくれましたが、私はそれが気に入りませんでした。
そこでボタンを見つけて、ボタンを付けた途端、このセーターが大好きになりました。
自分のセンスが悪くてボタンが選べないなら、他の人に選んでもらいましょう。
本気ですよ。
感想
普段、何気なく留めている洋服のボタン。
これは、いかにも歴史がありそうだとは思っていたが、紀元前2000年前から存在していたという事実は面白い。
しかし、それから3000年ほどは単なる装飾品として続き、1000年ごろにようやくボタン穴が発明される。
それからまた1000年ほど経った現代まで、ボタンの種類はほぼ変わらず、ボタンという商品はロングセラーになっている。
身の回りの物で、子どもの頃から何十年も変わらない物は珍しいが、確かにボタンには変化がない。
昔からあるし、今もほぼ変わらない、普遍性のあるものだ。
これからも、ボタンのデザインはしばらく変わらないのだろう。
ボタンがある前は、着物などでもそうだが、体型に合わせて変化するファッションが主流だったという話も興味深い。
そして、ボタンが生まれたことで、ファッションが体型に近づいたという変化は、歴史的な観点でも大きなことだ。
現代では、体型に合わせたファッションがいくらでも手に入る。
日本の場合は、江戸時代から明治時代に移りゆく文明開化の中で、人々のファッションは着物から西洋式のボタンがある洋服にシフトしていったのだろう。
ファッションから歴史を考えると、過去の人間の姿をリアルに感じられて面白い。