アメリカの識字率には格差がある【TED】子ども達が生涯の読書家になるために
「アメリカの教育制度を蝕む、不平等を廃止するためには、すべての子ども達に読書の機会を与える必要がある。」
概要
教育者でありコメディアンでもある、アルヴィン・アービーが、TEDに登壇。
子ども達が生涯の教育者になるためについて、講演した。
早速、その内容をシェアしていこう。
内容
小学校教師であった母は、私に読解力をつけさせようと、全力を尽くしてくれました。
友人が週末に外で遊んでいる間にも、私は食卓で読書のレッスンを受けていました。
読解力は向上しましたが、強制的なレッスンだったので、当時は本好きとは程遠かったです。
しかし、高校に入ると、事態は一変します。
高校1年生の英語は短編小説と簡単なスペルチェックで、退屈きわまりなかったため、他のクラスへの変更を申し出て、次の学期には上級英語クラスに入りました。
そして、その学期に小説を2篇読んで、レポートを書きました。
この2つのクラスには、あまりにもレベルの差があり、私は憤りを感じたことを覚えています。
そして、こう感じました。
「このクラスにいる白人生徒は、一体どこから来たんだ?」
私が通った高校は、7割以上が黒人かラテン系ですが、上級英語クラスは白人ばかりでした。
この制度化された人種差別に遭遇したことで、私の読書観は変わります。
私が知りたかったことは、学校の先生やカリキュラムからは教えてもらえないことを理解しました。
そして、誰に何を言われようが、これからも読書を続けていこう、そう心に決めました。
月日は流れ、大人になり、私は考えました。
「どうすれば、子ども達に読者としての自覚を持つように、奮起させられるのか?」
アメリカ教育省によると、黒人男子4年生の85%は、読むことに堪能ではありません。
これはとんでもない数字です。
子どもに読解力がないほど、教育者は、文化的に配慮する能力が必要です。
私は教育者でありながら、コメディアンとしてステージに立っていた過去があります。
この経験から、文化的配慮の重要性を認識しました。
文化的配慮とは、誰かに知ってもらいたいことを、相手の立場に合わせて、適切で関心を引くような意思疎通に置き換える能力です。
コメディアン時代は、ステージに上がる前に、聴衆を確認します。
彼らは白人か、黒人か、ラテン系か。年配か、若者か。専門家か保守派か。
その上で最も笑いを取れるように、ジョークを選んで修正します。
例えば、教会では、バーで使うようなジョークでは笑いが取れません。
社会で、私たちが子どもにさせている読書は、教会で話すバーのジョークと同じです。
そして、親や教師は、なぜこんなに子ども達が本を読まないのか不思議がっています。
教育者であり哲学者のパウロ・フレイレは、教えることと学ぶことは、双方向のものであると信じていました。
生徒は、事実で満たされるための空のバケツではなく、知識の共同制作者として見なされるべきです。
大量生産のカリキュラムや学校の方針は、生徒を寡黙な像のよう座らせて、静粛のなかで作業をさせています。
このような環境は、子どもの学習ニーズや興味、得意なことを排除します。
特に、黒人男子向けではその傾向が強いです。
黒人男子を対象とした児童書は、奴隷制度や公民権に伝記など、深刻なトピックばかりです。
アメリカの黒人教師はわずか2%で、多くの黒人男子は母子家庭で育ちます。
そのため、黒人男子達は、黒人男性が読書する姿を見ないで育ちます。
黒人男性から、読書するように励まされたこともありません。
どんな文化的要因や社会的きっかけがあれば、黒人男子は読書をするべきだという、結論に達するのでしょうか?
そこで私は考えて、理髪店の本屋さんを立ち上げました。
これは読解能力の育成を目指す非営利組織で、子どもが利用しやすいスペースを理髪店に設置します。
黒人男子に読者としての自覚を促すためです。
多くの黒人男子は、月に1、2回は理髪店に行きます。
定期的に理髪店に通う過程で読書に触れ、黒人男性を早期の読書経験に誘うことで、読書に抵抗のない人間を育てます。
そして、本の内容は、黒人男子が推薦する人気リストを使用しています。
つまり、彼らが実際に読みたい本に限定します。
気軽に読める本を置いておくことで、読書が好きになるキッカケにになればと、配慮しました。
アメリカの教育制度を蝕む不平等を廃止するためには、すべての子ども達に読書の機会を与えて、子ども達が「私は読書家です」と言えるように奨励する必要があります。
感想
日本では、読書離れが進んではいるが、識字率は非常に高い。
世界的に見ても、日本の平均的な学力レベルは高いと言われている。
アメリカは、 トップクラスは日本以上だが、その逆もまた然りで、格差が激しい。
黒人の子どもは、母子家庭が多く、読書をする大人を見てないと言う。
確かに、そのような環境では、本を好きになるのは難しいかもしれない。
読書からどれほどのものが学べるかは、多くの人が理解している。
読書をすることで、子どもだけでなく、大人も同様に、学び続けることができる。
世界的に有名な経営者であっても、毎月10冊以上、読書をしている人がいる。
黒人の子どもはお洒落が好きで、理髪店に月1、2回も通うと言う。
そこに気軽に読みやすい本を置いておくことで、読書を好きになるキッカケになれば、大成功だ。
一方通行の教育ではなく、子どもの立場に寄り添った取り組み方で、自主的に読書できる良い仕組みかもしれない。