創造性溢れる打開策【TED】ネット通販で返品した物の行き先は?
「返品された大量の洋服は、どうなるのでしょう?早速、調べた結果、毎年返品された180万トンの洋服が、ゴミ処理場に行くことが分かりました。私は、ぞっとしました。」
アパルナ・メータ
概要
アメリカの某業界トップ企業で、グローバルサプライチェーンリーダーのポジションで働くアパルナ・メータが、TEDに登壇。
ネットショッピングで購入した物の行き先と、新しい計画について講演した。
早速、その現実的かつ創造性溢れる豊かな内容を、シェアしていこう。
内容
私は買い物中毒で、ネット通販で購入した物の返品にハマっています。
以前は、そうでした。(笑)
一時期は洋服2、3箱が、1日おきに届くと言う状況でした。
同じものを、サイズ違いや色違いで、わざと買っていました。
何が本当に欲しいものか、わからなかったからです。
余分に注文して試着し、気に入らないものは返品していました。
ある時、娘が数個の荷物を返品する私を見て、「ママは問題を抱えているようね」と言いました。
私は、そうは思っていませんでした。
配送料無料、返品料無料のサービスだったからです。
ある時、仕事で衝撃的なデータを知るまで、私はそう考えていました。
ある日、仕事で最大手の顧客と会議することになり、いかにコストを減らすかの議論をしていました。
彼らの最大の悩みは、返品への対処でした。
感謝祭から年末までの約1ヶ月間ほどで、750万着の洋服が返品されていたのです。
私は、あまりの衝撃で、そのことが頭から離れませんでした。
返品された大量の洋服は、どうなるのでしょう?
早速、調べることにしました。
その結果、毎年返品された180万トンの洋服が、ゴミ処理場に行くことが分かりました。
私は、ぞっとしました。
私の仕事は、物流管理の問題を解決することなので、これは私が解決すべき問題だと考えました。
そもそも、なぜこうなったのでしょうか?
それは、ネットで購入した商品を返品可能にすれば、顧客はさらに購入することになるという、2012年に行われた調査結果が背景です。
その後、売上の拡大とより良い顧客サービスのために、返品無料を提供する企業が増えました。
このサービスが、返品が増える理由になったのです。
返品商品が無駄にならないような行き先を、企業が迅速かつ経済的に見つけられなければ、それはゴミ処理場行きとなります。
私は、このような状況をもたらしている消費者の一人だっとことに気づき、罪悪感を持ちました。
私の無知な購買行動が、自分だけでなく、地球にも損害を与えていました。
そもそも、返品された商品はなぜ、小売業者に戻される必要があるのでしょうか?
もし、誰かが何かを返品する時、小売業者でなく、それが欲しいと思っている次の買い手に渡すことができたら?
もし、返品の代わりに、私が「グリーン・ターン」と呼ぶ仕組みを実施できたら?
「グリーン・ターン」では、消費者はアプリを使って、品物を返送すると同時にその状態を証明します。
そして、人工知能のシステムが、品物を状態によって未使用品と少し使った商品に分けます。
未使用品の洋服は自動的に次の買い手に届き、数回着用された洋服は値下げされ、ネットで再販されます。
さらに、小売業者は特定商品の再販回数を決めることができます。
消費者は、ただ携帯端末に送られてくるバーコードを取得し、運送業者に梱包や運送を任せるだけで、次の購入者に移ります。
「こんな面倒なことを誰がやるのだろう?」
皆さん、そう思うかもしれません。
私は、動機付けがあればやると考えています。
ポイントサービスや、キャッシュバックです。
「グリーン・キャッシュ」と名付けましょう。
この仕組みで、返品商品の購入を希望する新しい顧客層への、新しいビジネスチャンスが生まれるでしょう。
このシステムは、買い物のような楽しい体験を、地球を救う崇高な体験に、昇華させることができます。
システムの構築には、半年ほどかかります。
それまでに私たち消費者ができることは、購入する前によく考えることです。
1人が1年で5回返品をしなければ、11万トンの洋服がゴミ処理場に行くのを防げます。
簡単に、6%削減することができます。
私たちが起こしてきた環境問題は、先の話ではなく、今起こっていることです。
地球上でゴミ処理場の拡大を防ぐために、今すぐ止めなければいけません。
私は、娘と孫には、今よりも綺麗な地球を残したいと考えています。
ですから、余分な注文をやめるだけでなく、リサイクルも行います。
皆さんにもできます。
難しくはありません。
欲しくない余分な商品で、買い物カゴやゴミ処理場を溢れさせる前に、ネットで買い物する時は一呼吸置いて、私たちが一番に望むものは何かを考えましょう。
それは故郷と呼ぶにふさわしい、美しい地球です。
感想
タメになりながらも面白く、巧みな構成のプレゼンだった。
ネットで購入して返品した商品が、活用されずにゴミ処理場行きになっていることに驚いた。
これほど経済が発展しているのに、クリエイティブな打開策はないのかと考えながら聴いていたら、グリーン・ターンという素敵なアイディアがあった。
このシステムは、アメリカのみならず、日本でもすぐ導入した方がいいだろう。
より安く購入できるなら消費者は買うだろうし、キャッシュバックやポイントサービスがあれば、たとえ面倒な作業だっとしても、手続きするだろう。
一度普及すれば、消費者は慣れるのものなので、当たり前になるかもしれない。
私だって、新品未使用で1割引きの商品があれば購入するだろうし、キャッシュバックがあるなら、次の買い手に回す作業へのストレスは緩和される。
また、地球環境保護に繋がるというコンセプトがあるので、利用する上で気持ちの良さも感じられるだろう。