情熱が沸き起こる!映画「8 Mile」あらすじと評価
『すべての戦いは、8 Mileを越えるため』
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カルト化するほど人気になった名作映画
8 Mileは、すでに人気ラッパーとして活躍していたエミネム本人が出演した、彼の半生を再現した自伝的映画だ。
この映画の爆発的な成功によって、エミネムの名は世界的に有名になった。
映画には大きく分けて3種類ある。
新作映画、旧作映画、そして名作映画。
この8 Mileは、時代が流れても語り継がれるほどの、カルト的な魅力まである名作映画だ。
2002年に公開された当時の人気は相当なもので、当時旅行していたタイのバンコクでも、カジュアルなバーレストランに行けば8 Mileが放映され、街中では8 Mileの曲が流れていた。
あれから16年、久しぶりに観ると、当時の記憶が蘇ってきた。
そしてあらためて、この映画ならではの魅力に気付かされた。
あらすじ
自動車産業の没落とともに、デトロイトは郊外からスラム化していた。
ラビットというあだ名で仲間から呼ばれている青年ジミー(エミネム)は、シングルマザーの母と幼い妹とともに、貧困層向け住居のトレーラーハウスで暮らしている。
ガールフレンドとは別れ、呑んだくれの母親はジミーの上級生と付き合っている。
ロクな仕事もなく、単発の工場労働で食いつないでいる始末だ。
ジミーは、貧困の連鎖から逃れられないほど過酷な環境で生活していた。
ジミーは時間があればラップの練習とリリックを書き、この貧困と犯罪の街から抜け出し、ラッパーとして成功することを夢見ていた。
しかし、ラップは黒人が歌うことが当たり前だった時代背景があり、MCバトルに参加しても観客全員からブーイングで追い込まれ、歌うこともできなくなっていた。
そんなある時、自分のようにこの街を抜け出し、モデルとして成功することを夢見るアレックス(ブリタニー・マーフィ)に出会い、恋に落ちる。
恋と裏切り、貧困と暴力、悲惨な現状から抜け出すために、ジミーはリリックを書き続け、密かに牙を研いでいく。
8 Mileから出るために、 彼の眼は、次第に力を増していく。
本物が演じたことで表現できた、リアルな感情と力強い生き様
映画が完成するまでは、当時すでにアイドル的人気を誇っていたエミネムのための、アイドル映画になると心配されていた。
しかし、完成した映画は全く違う次元のものだった。
エミネムは何一つ飾ることなく、悲惨な状況の中から泥水をすすって這い上がった姿を、力強くさらけ出してる。
ラップバトルをしてもアウェイだらけの中、最初は声を出すこともできなかったが、最後に本領を発揮し、完膚なきまでに叩きのめす。
このバトルは、ラップジーニアスと呼ばれる彼本人が演じているからこその、圧倒的なスキルと緊張感のあるバトルを見せてくれる。
俺の居場所は8 Mileの先にある
ジミーには当時から彼を認める仲間がいたが、その世界では絶対に終わらないと、最後には自ら決別する道を選ぶ。
個人的にはこのラストシーンが一番感動した。
人間は弱く環境に染まりやすく、誰もが共感できる人や家族、仲間と一緒にいたいと考える生き物だ。
しかし、本気で8 Mileを越えるためには、この場所に安住してはいけない。
8 Mileを越えた先に孤独が待っていたとしても、振り返らず進み続けなくてはならない。
この後ろ姿が最後のシーンになり、エンドクレジットで名曲「Lose yourself」が流れる。
ジミー、後のエミネムのストーリーはここで終わりでなく、ここからすべてが始まる。エミネムは自分の力で、この時から成功へのスターダムを駆け上がっていく。
8 Mileは、アメリカの音楽シーン全体を変えた
エンドクレジットで流れた「Lose yourself」あまりにも力強くクオリティの高い楽曲だったので、HIOHOPの曲として初めてアカデミー賞に輝いた。
これは奇跡的なことで、それまでの音楽界の流れではありえない事だった。
エミネム本人も選ばれるはずがないと考えていたので、授章式に欠席していたほどだった。
そしてこれを機に、アメリカ全体の音楽シーンが変わる。
それまでは黒人が主に聴いていたHIPHOPが、エミネム効果で白人のリスナーが急激に増加していき、アメリカ全体でHIPHOPミュージックの全盛期が始まった。
革命を起こした天才ラッパーのエミネムの8 Mileと「Lose yourself」は、世界中の人の胸を熱く打った。
たった一人のミュージシャンの半生記を描いたことで、これほど力強くポジティブな気持ちになれる映画はなかなかない。
8 Mileは、エミネム本人が悲惨だった過去を振り返り、映画に命を吹き込んだ。
彼自身が実際に成功を掴み取ったことで、映画という存在を超えてリアルな感動が沸き起こった。
この作品を観ると、どんな状況でも希望を忘れず、戦い抜くことの意味が学べる。
8 Mileは人生のいろんな節目で、何度でも観たくなるほどの名作だ。
★★★★★★★★★☆ 9/10点